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オーディオテクニカは1962年の4月に創業しました。もうすぐ60歳、還暦です。
この間に起きた音響機器業界の盛衰や技術革新を振り返って見ると、アナログからデジタルへの転換期を挾んでひじょうに大きな変化がありました。私が社長に就任しましたのは1993年の6月で、長い社歴のちょうど半ば頃に當たります。オーディオはすでにデジタル時代。當社もCDのピックアップ等、光ディスク関連の新技術に対応してはいましたが、収益が上がらず、 私は予想以上の苦境に驚いたことを憶えています。厳しい狀況の中で、私は全社員にたいしてひとつのシンプルな提案をしました?!袱黏蚴工铯氦祟^を使おう」當たり前といえば當たり前な考えかたを、徹底して実踐するように呼び掛けたのです。それから2年後には業績が上向き始めました。そうしてアトランタオリンピックのマイクロホンサポートを擔うまでに企業力が回復したのは、1996年のことでした。夏季/冬季オリンピック?パラリンピック大會のマイクロホ ンサポートは、それ以來當社にとって格別に意義の深い重要なビッグイベントになりました。1年後に延期された2020年東京大會でも、新開発のサラウンド収音システム等が出番を心待ちにしていますので、ご期待いただきたいと思います。
現在、世界は新型コロナウイルスの脅威に直面しています。地球規模の感染癥拡大が続き、そのおかげで世の中はすっかり変わってしまったなどといわれますが、このような時代にも変わらないものがあります。それは時間です。1日24時間は、すべての人びとにとって同じ長さです。同じ24時間をどう使うかによって、違う結果が出てきます。これはとても大切なことで、困難な時代にこそ限られた時間を上手に使う工夫が求められるのではないでしょうか。まだ先の見えないコロナ禍にも、いつか収束の時が來るでしょう。その時になってからでは遅いのです。
世界にいつ、どのような変化が起きても柔軟な考えかたを忘れず的確に対処して、つねに最上のサウンドをお屆けしたい。私たちオーディオテクニカの志も、創業の時から変わりません。
- 2020年9月
代表取締役社長